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脳血管疾患

症状・病気について

脳血管疾患

脳血管疾患

脳血管疾患とは

脳血管疾患とは、脳に酸素や栄養を送っている脳動脈が高血圧や動脈硬化などで破れたり、詰まることで発症します。脳の血管がつまって、血液が流れなくなる「脳梗塞」、脳の血管のもろくなった部分から出血する「脳出血」、動脈瘤(りゅう)の壁が破けて出血する「くも膜下出血」、などがあります。

脳は多くの神経をつかさどる人間の身体の中枢であり、全身の酸素の20%を必要とし、酸が少なくなると、命の危険にさらされます。 脳血管疾患は、寝たきりになる原因の1位、死因の第3位であり、身近な非常に怖い病気だといえます。メタボリックシンドロームの増加(高血圧症、糖尿病、脂質異常症)、高齢化の進行により、脳血管疾患の発症は今後も増加が予想されます。

脳血管疾患の原因

「脳血管疾患」のなかでも代表的な疾患としてあげられるのが「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」です。脳血管疾患は高齢になるほど発症率が高く、寝たきりになる原因の疾患1位としても知られています。

脳血管疾患の危険因子は、肥満によるメタボリックシンドロームをはじめ、高血圧、糖尿病、脂質異常症など基礎疾患が原因になっています。動脈硬化は老化現象のひとつではありますが、動脈硬化が促進することで脳梗塞などの発症率は高くなります。

脳血管疾患の予防は高血圧や糖尿病などの基礎疾患の治療、食事(減塩)、運動、喫煙、飲酒などの生活習慣の改善が大切です。

脳梗塞

脳梗塞とは、脳血管が詰まり、脳細胞に酸素や栄養が行き渡らなくなり、脳細胞が壊れてしまうことを言います。脳卒中の約70%が脳梗塞だと言われています。

動脈硬化により太い動脈が詰まる「アテローム血栓性脳梗塞」、脳の細い動脈が狭くなり血管が詰まる「ラクナ梗塞」、心臓などで出来た血栓が脳血管に詰まる「心原性脳塞栓症」があります。

アテローム脳梗塞とは、動脈の内膜に悪玉コレステロール(LDL-コレステロール)などの脂肪がドロドロの粥状になってたまり動脈が狭くなることが原因で生じます。脳内の太い動脈や頚動脈で起こります。

ラクナ梗塞とは、日本人に多く、脳の深い場所に発生し、細かい血管が多発性に詰まる小さな脳梗塞です。高血圧症や高齢者の方に多い疾患です。

前触れなく突然発症するのが、心原性脳塞栓症です。心原性脳塞栓は、心臓内でできた血栓が脳の血管に詰まって起こる脳梗塞です。脳細胞が壊死した範囲が広範囲で重症になりやすいという特徴があり、死亡率が20%割と高く、寝たきりなどの後遺症が残ることが多くあります。この血栓ができる原因としては、心房細動などの不整脈や心臓弁膜症などの心疾患が最も頻度が高く心原性脳塞栓症の約70%以上を占めています。

脳出血(脳内出血)

脳出血の多くは高血圧が原因と言われています。高血圧以外では、脳腫瘍からの出血、抗血栓薬などの薬剤の影響によるもの、腎不全や血液疾患などがあります。また、ストレスや、喫煙や過度のアルコール摂取なども危険因子であるという報告があることから、生活習慣に密接に関わった病気です。

くも膜下出血

くも膜下出血は、脳動脈の血管壁が薄くなったり、もろくなることで、そこが膨らんで血液が入り込み、コブのような形状になり、これが破裂することによって起きます。これは、破裂される際、頭をバッドで殴られたような激しい痛みが起こると言われています。

出血の程度にもよりますが、約30%の人が初めての破裂で死亡するといわれています。くも膜下出血の危険因子は、過度の飲酒、喫煙、高血圧、女性の経口避妊薬などが挙げられます。

脳血管疾患の症状

脳血管疾患の場合、最初は痺れ程度だったものが一晩経ったら完全に麻痺したということもあります。

脳血管疾患の症状としては、物が二重に見える、視野が欠けている、顔が痺れる、急に手足が痺れる、めまいや耳鳴りがする、足がもつれる、何もないところでつまずく、物がつかみにくくなる、呂律が回らない、飲み込みに違和感がある、急に頭痛が起きているなどがあります。

重症の場合は、意識がもうろうとしたり、両目とも片側に寄ってしまうこともあります。完全に片半身が動かなくなり、頭痛や嘔吐(おうと)が起こることもあります。

また、くも膜下出血では、「激しい頭痛」「意識障害」「嘔吐」が見られます。バッドで殴られたような激しい頭痛が突然起こる、意識障害や意識を突然失う、いびきをかいて寝たようになる例も見られます。

脳血管疾患と思われる症状が起こったら、なるべく頭を動かさないように、横にして、すぐに救急車を呼びましょう。

脳血管疾患の治療

脳梗塞の治療

脳梗塞の急性期の治療は、薬による内科的な治療を中心に行います。血栓を溶かす薬(tPA静脈注射)を点滴で行う治療のため、患者様への負担は少ないですが、血栓に対しピンポイントで作用するわけではないため、大きな血栓は溶けない場合もあります。また、この点滴治療が行えるのは、発症から大体4時間半以内と言われていますので、全ての患者様を対象に施行出来る治療法ではありません。他には、カテーテルで詰まっている血管を開通させる方法がありますが、これも発症8時間以内に行なう必要があります。慢性期には、再発防止のため、血液をサラサラにする薬を服用します。

PA投与は4時間半以内、カテーテル血管内治療は8時間以内と決められており、時間との闘いになります。気になる症状がある場合は、早めの受診をお勧めいたします。血栓溶解療法は大きな病院でないと出来ませんので、専門医療機関を紹介させていただく形となります。

脳出血の治療

脳出血の治療は、薬剤による治療、手術です。出血の原因、出血の量や症状、容態の変化などによって治療方針が変わります。

薬による治療では、降圧薬で再出血や出血の拡大を予防し、抗浮腫薬で脳のむくみを軽減させ、脳のダメージを改善させます。手術は、脳内にある血腫を除去する開頭血腫除去術があります。手術が必要な場合は、専門医療機関に紹介させていただきます。

くも膜下出血の治療

くも膜下出血の場合、24時間以内に再出血を起こすことが一番多いといわれており、まずは再出血予防を行ないます。緊急でクリッピング手術を行い、再破裂を予防する必要があります。この手術は、再出血の予防目的で、くも膜下出血そのものの治療ではありません。クリッピングも専門医療機関での対応となりますので、ご紹介させていただく形となります。

このように、脳血管疾患はどれだけ早く治療をスタート出来たかによって、症状(手足の麻痺やしびれ、うまくしゃべれない、目が見えにくいなど)を改善することができるため、可能なかぎり早く病院を受診しましょう。 なるべく早く治療を開始することで、後遺症が軽くなる可能性があります。